昨今話題となっているトランプ大統領による関税政策いわゆる「トランプ関税」が日本時間3日の未明に発表されました。

輸出企業、特にアメリカへ輸出を多く行っている企業様にとっては厳しい内容となっていると思います。

このような政策が発表されるまでの経緯と具体的にどのような内容であったのかをブログにしてみたいと思います。

トランプ関税とは?

トランプ大統領は新たな関税政策を発表しました。この政策では、すべての輸入品に対して一律10%の基本関税が課されるほか、各国との貿易赤字(税率)の大きさに応じて相互関税が設定されました。

日本からの輸入品に対しては、相互関税として24%の関税が適用され、合計の関税率は36.4%に達する見込みです。(基本関税は4/5施行、相互関税は4/9施行)

トランプ大統領の主張

トランプ大統領は、「アメリカは詐取されており、非常に不公平」として、下記のような目的の主張をしています。

  1. 貿易赤字の削減
    • アメリカは長年にわたり多くの国と貿易赤字を抱えており、特に日本、中国、ドイツとの赤字が大きい。関税を課すことで輸入を抑制し、国内生産を促進する。
  2. 国内製造業の保護・再生
    • トランプ大統領は「アメリカ第一主義」を掲げており、国内の製造業や雇用を守るために、海外からの安価な輸入品に依存しすぎる状況の改善を掲げている。
  3. 対中貿易戦争の一環
    • 特に中国に対しては、知的財産の侵害や不公正な貿易慣行を理由に強硬な姿勢を取っており、今回の関税も中国への圧力強化の一環と考えられる。
  4. 財政収入の確保
    • 関税による追加収入をインフラ投資や減税の財源に充てることで、アメリカ経済の成長を促すと主張している。

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問題視されている点

しかしこのような一方的な政策はグローバル社会においてさまざまな問題点が指摘されています。

  1. 貿易戦争のリスク
    • 高い関税を課される国々が報復関税を実施する可能性があり、世界的な貿易摩擦を引き起こす恐れがあります。​
  2. 消費者・企業への影響
    • 関税によって輸入品の価格が上昇し、アメリカ国内の消費者や企業に負担がかかります。例えば、日本製の自動車や電子機器の価格が大幅に上がる可能性があります。​
  3. 経済の不安定化
    • 関税政策が企業の投資判断に影響を与え、経済成長を鈍化させる可能性があります。​
    • 特に株価においては関税発表直後に主要な株価指数が大幅に下落しました。​
      • ダウ平均株価: 約1,117ポイント(2.65%)下落
      • S&P 500指数: 3.39%下落
      • ナスダック総合指数: 4.5%下落
      • 日経平均株価: 2.8%下落

日本への影響

日本の輸出企業にとっては当然大きな影響が考えられます。

特に、自動車業界や電子機器産業はアメリカ市場に依存しているため、コスト増加によって競争力が低下する懸念があります。

また、アメリカ向けの輸出が減少すると、日本国内の生産や雇用にも悪影響を及ぼす可能性があります。 アメリカを大きな市場としている大手メーカなどは販売減少に対応するために生産体制の見直しを迫られるかもしれません。

計算方法及び具体的な例

追加関税率は発表となりましたが、日本からの輸出においては具体的にどのような計算となるのか試算をしてみました。

  1. 基本関税: 10%
  2. 相互関税: 24%

計算式:

・最終価格=元の価格×1.10×1.24

・最終関税率=1.10×1.24−1=0.364(36.4%)​

具体例:

  • 100万円の日本製品を輸出する場合
    • 基本関税適用後: 100万円 × 1.10 = 110万円​
    • 追加関税適用後: 110万円 × 1.24 = 136.4万円​
    • 最終価格: 136.4万円(関税分36.4万円の増加)​
  • 日本車(400万円)の場合
    • 400万円 × 1.10 = 440万円​
    • 440万円 × 1.24 = 545.6万円​
    • 最終価格: 545.6万円(関税分145.6万円の増加)​

  メーカが負担(販売価格を据え置く)するにせよ、アメリカの消費者が負担するにしろ大きな金額であると言えます。

まとめ

トランプ関税は、輸出企業にとってもアメリカ国民にとっても大きな影響を及ぼす政策であると思います。

特に、アメリカ市場への依存度が高い業界では、価格上昇により売上減少や利益の低下が懸念されます。

果たしてこのような政策が恒久化されるのか、どこかで軌道修正されるのか?

トランプ大統領がどのような舵取りをするのか、バイデン政権時代の関税政策との違いを考慮しながら、今後の動向を注視してみたいと思います。